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2021.08.04

開発品情報

超小型衛星多用の宇宙新時代に向け、株式会社由紀精密と共同開発品を発表

ノズル(噴射部)径約10mmの超小型人工衛星用エンジン

 

宇宙新時代

ジェフ・ベゾスやイーロン・マスクによる宇宙ビジネスが話題をさらっていますが、このような民間シフトは、日本の製造系企業にも新たなチャンスを広げています。

 

高砂電気工業株式会社(名古屋市緑区)は、株式会社由紀精密(茅ヶ崎市)が開発した超小型人工衛星用の推進エンジン(スラスタ)に主要部品であるバルブを提供し、海外で広がる市場を狙っています。

 

 

超小型衛星の運用

近年、1~10 kg 程度の超小型人工衛星の利用が爆発的に増加しています。これは人工衛星の民間利用と低コスト化が進んでいるためです。官主導の衛星が高機能・大型・超高コストだったのに対し、民間では超小型の低コスト衛星を集団で運用する「コンステレーション(星座)方式」が主流になって来ています。スラスタとは、原理的にはロケットのエンジンと同じもので、衛星の位置や姿勢の制御、軌道の維持などに使用されます。

 

超小型衛星は、俊敏な姿勢制御や軌道変更を要求される例が少なかったため、このようなスラスタを用いないことが多かったのですが、コンステレーションにより高い精度での位置・姿勢制御が必要になり、かつ、デブリ(宇宙ゴミ)対策として運用後に“自滅”させる必要性から、超小型衛星用スラスタの需要が高まっていました。

 

これに応えるため、宇宙機器の設計製造を事業の柱の一つとする由紀精密と、“名古屋の下町ロケット”と呼ばれ宇宙用バルブを開発してきた髙砂電気工業がタッグを組み、超小型スラスタを共同開発し、8月7日から米国ユタ州で開催される「Small Satellite Conference 2021」で発表することになりました。低毒性の燃料を使用することで従来品と比べて扱いやすく安全で、コストパフォーマンスにも優れていることから、宇宙事業のさらなる発展に貢献が期待されます。

 

本件に関するお問い合わせ先:広報担当 山本久美子
k-yamamoto@takasago-elec.co.jp

 


 

高砂電気工業は1959年創業、バルブやポンプなど、流体制御機器の専門メーカーです。医用、環境分析機器への部品供給に加え、再生医療、植物工場、人工培養肉、宇宙ビール醸造などの各種先端分野へ流体制御技術の応用を目指します