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2020.04.22

開発品情報 ニュース

無重力下での発酵実験に挑戦!宇宙ビール醸造デバイス

 

高砂電気 無重力 宇宙ビール醸造デバイス

 

高砂電気工業株式会社は、人工衛星や宇宙ステーションで実験的にビールを自動醸造する装置を設計しました。
今後、当社が参画する地球と宇宙の食の課題解決を目指す共創プログラム「SPACE FOODSPHERE」の関連イベントでのデモ機の展示などを計画しており、最終的には人工衛星軌道上での実証実験を目指します。

近未来には宇宙空間で人類が暮らすようになると言われています。
長期の生活には、少ない資源で効率的に食料・飲料を生産する技術や、また閉鎖的な空間でも心豊かに暮らせる美味しい食生活も、重要な鍵になるでしょう。

地上とは大きく異なる環境の宇宙で、発酵のプロセスはどう変化するのか?
どのような発酵条件が最適なのか?

今回はその様な実験を行うためのデバイスを設計しました。人工衛星での無人実験時に醸造の出来栄えが確認できるよう、アルコール濃度やビール香味成分などのセンサーを搭載可能です。また、宇宙ステーションでも使用できるコンパクトな構造です。

高砂電気工業は2017年に米国の学生による月面ビール醸造デバイス製作に、部品と技術アドバイスを提供しました。月には重力がありますが、無重力の宇宙空間でのビール造りには完全閉鎖系のシステムが必要で、発生するガスの処理や内部の撹拌に、より高度な技術が必要です。今回はそのような課題を解決し、特許も出願しました。

宇宙で美味しいビールは造れるのだろうか?
知的好奇心をくすぐる科学的探求でもあり、人々を笑顔にするための挑戦でもあります。
宇宙で造ったビールで、地球を見ながら乾杯!ワクワクしませんか?
宇宙へと向かう人類の将来を見据えた、夢と希望に溢れるプロジェクトです!

 

装置の特長

・人工流れ星事業を手がける株式会社ALE (エール)との共同開発。
・宇宙空間(微小重力下)において、自動でビール醸造を行うことのできる人工衛星型のビール醸造デバイスです。
・CubeSatサイズの超小型人工衛星に適応。本体部分は1Uに格納可能。
・発酵中に発生する炭酸ガスを逃がすデガッサーを搭載し、閉鎖系でのビール醸造を実現。
・熱対流が起こらない微小重力空間でも強制的に麦汁を攪拌するシステムを採用。
・ホップカラムを採用し、自動のホッピング工程を実現。ホップの苦み、香り付けが可能に。
・ワインなどの発酵にも応用できます。

 

高砂電気 宇宙ビール醸造デバイス

 

高砂電気工業はバルブやポンプなど、流体制御機器と呼ばれる製品の専門メーカーです。SPACE FOODSPHEREプログラム*への参画を通じて、植物工場、人工培養肉、ビール醸造、水処理、水質分析など、流体制御技術の各種応用を目指します。

 

*Space Food X(スペースフードエックス)は2020年4月22日「一般社団法人Space Foodsphere」への名称変更いたしました。

 

※高砂電気工業は2024年3月末をもって一般社団法人 SPACE FOODSPHEREを退会いたしました