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電磁弁内部容積の分析精度に対する影響
ガスサンプリング制御装置に使用する流路切り替え電磁弁の内部容積がクロマトグラフ分析に与える影響を検証する目的で、下記条件にてガスサンプリング制御装置を構成し、標準サンプルの測定を行いました。
電磁弁の内部容積は、流路部と弁室部との2つの部分からなります(ダイヤフラムバルブの構造)。流路部は流体の停滞がありませんが、弁室部には流体の残留しやすい部分が構造上できてしまいます。この溜まりの部分を「デッドボリューム」ともいい、流体の純度・清潔度を低下させる場合があり、分析精度の低下等の問題を誘発します。小社は、弁室の内部容積をゼロにしたゼロデッドボリュームバルブを開発しています。
今回の測定では、装置の流路切替に上記のゼロデッドボリュームバルブ(ゼロデッドボリューム型構造電磁弁)と標準型電磁弁を使用し、比較しました。
- 内部容積比較表
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内部容積
(COM.ポート)
内部容積
(N.C.、N.O.各ポート)
内部容積
(3ポートトータル)
ゼロデッドボリューム型電磁弁
(型式:MTV-3-NM6NA)
14mm3
7mm3
28mm3
標準型電磁弁
(型式:MTV-3-NM6)
26mm3
66mm3
158mm3
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結果の解説
内部容積の異なる2つの電磁弁を使ったそれぞれの場合の、標準サンプルガスの分析結果を「図1 測定結果」に示しました。標準型電磁弁はピークが鈍く、また各ピークの根本の部分が広がり、別成分と重なる部分が見られます。一方、ゼロデッドボリューム型電磁弁はピークが鋭く、また根本部分の広がりも抑えられていることが分かります。このピークの鋭さと各成分の重なりの少なさは、分離性能の良さを示しています。
以上の結果より、ゼロデッドボリューム型構造がガスサンプリング制御装置の性能を向上させ、クロマトグラフの分析精度を上げたことが確認できました。このように小社のゼロデッドボリューム型構造は、分析装置の精度向上に貢献します。
測定実験の詳細
被検査ガスは、ガスサンプリング制御装置内の濃縮装置(ステンレス製トラップ管)において、低温凝縮捕集され、加熱脱着により分析装置に注入されます。この方式において、濃縮装置より分析装置に注入されるまでの流路の内部容積はゼロの状態が理想であり、クロマトグラフにおける最高の分離状態といえます。流体制御回路は、電磁弁により下図の回路のように構成されています。
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図2 回路図
分離条件
カラム: HP-INNOWAX、内径0.25mm、長さ30m、Crosslinked Polyethylene Glycol、固定相厚さ0.25μm
キャリアガス: He 79kPa:カラム温度 45℃
ガスクロマトグラフ: GC-17A 検出器FID
標準サンプル: アセトン、エタノール、メタノール、注入量 1ng*参考文献 第2版クロマトグラフィー-分離の仕組みと応用- 津田孝雄著 丸善 (1995)
*ガスサンプリング制御装置は、名古屋工業大学 津田研究室との共同研究により開発されました。
*本実験は名古屋工業大学との共同研究にて実施されました。お問い合わせ
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