流路系の内部容積が分析精度に及ぼす影響


目的
試料注入部の流路切り替えに電磁弁を使用した場合、流路系の内部容積が分析に与える影響を検証しました。


システム構成
液体クロマトグラフ装置の試料注入部(インジェクター)に内部容積の異なる各種電磁弁を使用し(図1参照)、分析結果の比較を行いました。
電磁弁は弊社汎用品3種でユニット構成をしました。各試料注入部の内部容積は以下の通り(表1参照)。

テストユニット内部容積(μl)
KVユニット34
EKAKNユニット105
MTVユニット407

表1:各試料注入部の内部容積比較



図1:システム構成




試料:安息香酸エチル溶液 試料導入量:3μL キャリア液:純水

図2:検出結果

考察
図2に検出結果のピークの波形を示します。
ピーク形状は、内部容積が少ない順に高さが高く、幅も狭くなっており、検出精度が優れていることが分かります。
このようなピーク形状に違いが見られる理由は、流路系の内部容積の大きさに起因していると考えられます。
これは、サンプリングされた試料が電磁弁内部を通過する際、キャリア液との間で流れによる拡散が発生しているためと考えられます。
そのため、試料注入部に使用した電磁弁を含む流路系全体の内部容積を極小化することで、短時間で検出でき、ピークも鋭くなります。
そのためクロマトグラフ分析で検出される物質のデータをより細分化することができ、良い影響を与えます。