細胞培養実験用自動溶液交換器具1型(Auto-Ex1)への自社システム採用
高砂電気工業のポータブル培地交換システムがいよいよ宇宙へ! ISS「きぼう」日本実験棟でのバイオ実験をサポートします。
細胞培養実験用自動溶液交換器具1型(Auto-Ex1)
Auto-Ex1のベースとなった「ポータブル培地交換システム」
当社のポータブル培地交換システムが宇宙仕様としてモデルチェンジし、2021年度(予定)に国際宇宙ステーション(ISS)での実験の一環として使用されます。大がかりなロボット設備ではなく、ミニチュアポンプを用いた「小型かつ簡易的な培地交換の自動化」というポータブル培地交換システムのコンセプトを参考に、JAXAが使用する細胞培養実験用の自動溶液交換器具1型(Auto-Ex1)を製作しました。この装置は、ISS「きぼう」日本実験棟で進められる細胞培養実験において、培地や試薬などの溶液の交換に使用される計画です。
課題と解決 ~ 宇宙実験作業の効率化を目指して
これまで「きぼう」での細胞培養実験における溶液交換は、宇宙飛行士による手作業で行われてきました。そのため、多数のサンプルの溶液交換というルーティンワークに、宇宙飛行士の貴重な時間が割かれていました。そこで、宇宙飛行士の負担を可能な限り減らし、作業を効率化することを目的として、JAXAでは溶液交換の自動化を目指していました。宇宙実験機器には、打上げコスト削減や、ISS内の空間的制約から、小型・軽量化が求められます。地上では手作業の自動化にはよくロボットが利用され、既存の培養液自動交換機にもそのタイプが多いのですが、この発想では小型・軽量化に限界がありました。
その点で、ポンプのみを利用した当社のポータブル培地交換システムが適していました。ISSで使用するにあたり、微小重力空間で液の浮遊やサンプルの汚染を防ぐために、流路を閉鎖系に変更。また、操作の簡便性と制御部のシンプル化を両立させるため、ボタンを1回押すだけで一定量溶液交換が行える設計を採用。また、さらなる小型・軽量化と、打上げ時の耐振動強度の両立のため、パーツ配置の見直し、材質の変更などして、極力寸法が小さくて軽量なシステムとして、試行錯誤を繰り返しながらモデルチェンジをしていきました。振動試験やEMC試験など、長期に亘るさまざまな検証及び数回の審査会を経て、ついにAuto-Ex1の完成に至りました。
本装置は細胞の重力感知のメカニズムを解明する実験に使用される予定です。JAXAによれば、Auto-Ex1をのせたISSへの物資輸送宇宙船は2021年度に打上げを予定しています。
このように、マイクロポンプやマイクロバルブを用いる流体制御技術の視点から、細胞培養の各種プロセスを自動化するのが当社の特長です。灌流、継代、分化誘導、ライブセルイメージングなど、種々の応用が可能です。さらに、それらを宇宙仕様に設計変更するノウハウもあります。ニーズをお持ちの方はお気軽にお問い合わせください。
2021年8月17日追記:
Auto-Ex1は8月10日に米ヴァージニア州の中部大西洋地域宇宙基地から補給船シグナスで打ち上げられ、同12日、無事にISSで待つ星出宇宙飛行士のもとへ到着しました。
これから、細胞が重力を感知する仕組みを解明する実験に貢献する予定です。
https://twitter.com/ISS_Research/status/1427353659407486982?s=20
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