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分析装置 航空宇宙

超小型ガスクロマトグラフへの搭載 – ボールウェーブ株式会社

ボールウェーブは、球状の物体の表面を伝わる超音波(弾性表面波:Surface Acoustic Wave、以下SAW)のなかで特殊なSAWに着目し、その性質を応用したセンサ技術を強みとする、東北大学発のスタートアップ企業です。

 

通常、平らな材料の上を進むSAWは、進行とともに回折現象により広がっていきます。
ところが2000年ころに東北大学の山中教授らは、球状の材料の上で特殊な条件で発生させたSAWが、集束も広がりもせず表面を何度も周回しながら伝わるというユニークな現象を発見しました。そして、SAWの通り道に感応膜を設けることにより、ガス成分が感応膜に吸着したときのSAWの減衰や速度の変化を計測することでガスを検出するセンサ(ボールSAWセンサ)を開発しました。ボールSAWセンサは、直径3.3 mmの水晶球を用いるため小型であり、SAWがセンサ表面を何度も周回することでガスに対する変化量が増大するため高感度にガスを検知できます。
ボールウェーブは小型で高感度というボールSAWセンサの特徴を活かして新しい超小型ガスクロマトグラフを開発しました。

 


課題と解決

ボールウェーブの超小型ガスクロマトグラフは、該社の現取締役である山中教授らの東北大学時代の基礎研究をもとに、JAXA(宇宙航空研究開発機構)との共同研究により開発されました。ガスクロマトグラフは多種類のガスを分離して検出する分析装置ですが、通常は大型で持ち運びが困難です。
宇宙探査を考えると、装置の小型化・軽量化・低消費電力はとても大切な要素です。

 

当社が開発したラッチ式のダイアフラムバルブ NLVシリーズ は、これら3つの課題を同時に解決できる高性能な小型バルブです。
このバルブを活用し、分析精度に関わる流路の短縮や、配管の集約・配置最適化など、お客さまのご要望に応じたカスタマイズを行いました。

 

こうした工夫の積み重ねにより、ボールウェーブは有人宇宙環境における空気中の有害ガスのモニタリングを想定したガスクロマトグラフの試作機の開発に成功しました。

 

手のひらサイズのガスクロマトグラフ

手のひらサイズのガスクロマトグラフ
寸法約 133×高さ 88×奥行 174 mm、重量約 1.9 kg

 

NLVシリーズ多連マニフォールド

上記写真の黄枠部がNLVシリーズ多連マニフォールド
寸法約 26×56×46 mm

 

現在、この超小型ガスクロマトグラフは、手軽に持ち運べることから、地上でも様々な場面で実用化が進んでいます。
たとえば、半導体製造の工程管理では、クリーンルーム内の環境分析に活用されています。また、ドローンに搭載して化学工場を模擬した施設において煙突から出る排気ガスの成分分析を行った実証試験の実績もあります。
最近では、日本酒の香気成分を分析する品質管理にも使われました。

 

今後も高砂電気工業は、ボールウェーブを通じ、最新分析装置の開発を通じて、科学技術の進歩に貢献していきます。

 

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